向陽高校 東京地区同窓会

母校ニュース


◆PTA会誌100号に秋月会長の記事が掲載されました。

▲東京地区同窓会会長 秋月宏文氏(向陽4期卒)

▲PTA会誌100号記事より 「緞帳に思いを馳せて」

▲ 新築されました新体育館の様子

▲緞帳の図柄

▲5月21日東京地区同窓会にて

緞帳に思いを馳せて

向陽高校東京地区同窓会会長

秋月宏文(向陽四期/昭和二十七年卒)

 

 PTA紙第一〇〇号の発行おめでとうございます。東京地区同窓会一同、心からお祝い申し上げます。

 東京地区同窓会も本年で十八回総会を迎えることができ、ホームページの立ち上げを実施して会員の親睦と今後の発展に寄与して行きたいと考えています。

 私事になりますが、母校の創立百周年に少し先駆けて新築されました新体育館の緞帳についてお話しておきたいと思います。

 正式に相談を持ちかけられたのは、二〇〇九年の東京地区同窓会の席で、母校の内藤同窓会長様から新体育館の片隅に舞台を作るので緞帳が必要になる。同窓会、PTAからの寄付になるので、できるだけ安く、かつ見栄えがするものを提案してもらえないかと依頼がありました。母校側には舞台や緞帳を知っている人がいないので、協力して欲しいということでした。

 舞台の基本設計を数多くやってきた関係上、断れないので、引き受けましたが、後日、送られてきた図面を見ると、舞台間口は幅十五メートル余、高さ五・五メートル余という歌舞伎座の舞台のように横長で、間口の上側に幕を収納しておくスペースが殆どない建築でした。色々考えた末、緞帳を縦方向で三〜四段に折りたたんで収納することにしました。

 このような収納方法を採用すると、緞帳には余り厚いものは折れ曲がりにくいので使えない。そこで薄めでありながら、重層感があり、かつ汚れにくい生地を使用することにして、現在設置される緞帳を選んだわけです。

 次に緞帳の図柄ですが、向陽にはどのような図柄があうのか? 他の学校の緞帳の図柄をカタログから探しました。これというアイディアが浮かばず、図柄の選定に苦労しましたが、使おうと考えた緞帳メーカーの標準図柄にヒントがありました。ベース(生地全体の色調)、ポイント柄(散りばめるポイントとなる絵柄)、総柄(緞帳全体に散りばめ、ポイント柄を補う絵柄)の三種がそれぞれ十五種くらい標準化されている。これを組合わせて向陽に合う絵柄を作ってみようと考えました。それでも考えがまとまらない時にカタログを見ておられた当時の板橋校長先生が“向陽はやはり向日葵だね”と言われた一言が最大のヒントとなりました。

 そこで向日葵をポイントとし、その他を何にするか?

 これが、次の悩みになったのですが、そのとき閃いたのが見矢先生作詞の向陽高校の校歌です。

「緑に映ゆる日前の森かげ清き…」

 学校の隣の日前宮の森の緑、日前宮は

 なんとなく日の光で黄色を発想

「紀水のほとり 青空に 照りあかるなる 向日葵の…」

 紀水も青空も青

「竜門の峯 紀伊の海…」

 紀伊の海は青

 ベースは緑、青、黄、三種にしてサンプル図を作らせました。

 結果として、青は水槽で泡が出ている感じ、黄は少しけばけばしい。緑が残り、それを下から上に色を薄めながら、ポイント柄の向日葵を配置し、総柄として青とか朱を細かく散らしながら出来上がったのが最終作品です。

 この図柄は母校の先生方、同窓会長、PTA会長のご承認をいただき、緞帳が二〇一〇年九月に体育館に吊りこまれて無事、同窓会とPTAから学校に寄贈されました。

 その寄贈式にご招待いただき、列席させてもらいましたが、生徒全員の前に緞帳が下がった時、出席者全員から予期しない拍手と歓声があがったのは私の一生の思い出となりました。今後もこの緞帳がみんなに可愛がられるものであってほしいと願っています。

 話がそれましたが、母校、PTA、同窓会の発展を祈念しつつ筆をおきますが、東京地区同窓会へもよろしくご支援をお願いします。

 

[-2013.03.11]